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2010.07.25
イノシシ/カバーン

きょうは 僕らイノシシのことを読んでね。
僕らの大好物はビキンの森の朝鮮五葉松の実。
栄養たっぷりのこの実で ?トラにまけないおっきさに育つんだ。

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ロシアで刊行された図鑑 『Животный Мир Уссурийской Тайги』(ウスリータイガの生物の世界)によればオスの成獣は体長227cm、体重300kgに達する。気温零下30度のビキンの冬を生き抜く丈夫な身体と鋭い牙を持っている。土中や地上の植物や昆虫を雑食するが、ウスリータイガのケードル(朝鮮五葉松)の実や、モンゴリナラのドングリが特に重要な食糧。

ここビキン川流域では、彼らイノシシはトラ(アムールトラ)の重要な獲物だが、決して一方的に捕食されるばかりではない。たとえば子連れの母イノシシは子どもを狙ってやってくるトラと必死で闘い、撃退してしまうこともあるという。

そして彼らイノシシは、ビキンで暮らすウデヘの人々にとっても重要な食糧であり伝統的に狩りの獲物とされているが、ただおとなしく狩られるばかりとは限らない。地元クラスニヤール村のベテランウデヘ猟師ヤコフ・カンチュガさん曰く、「ビキンのオスイノシシ達は冬、メスをめぐって互いに争う前、水溜りなどで自分の体毛を濡らして凍らせ、氷の鎧にすることがある。他のオスの牙から身を守るためだ。そしてそうして氷の鎧をまとったイノシシは、わしら猟師の撃った弾もその鎧で弾き返してしまうことがあるんじゃ」と。

ケードルやモンゴリナラの豊かなウスリータイガではイノシシ達がよく繁殖し、それによってアムールトラやウデヘの人々も生きていける。

一度の出産で4?9頭の子どもが生まれる。(子はウリ坊)

ロシア沿海地方で営林署長を務めたミハイル・ディメノーク氏による短編集『どんぐりの雨 ? ウスリータイガの自然を守る』(※)には、ウスリータイガのイノシシの子育ての様子やひとり立ちの様子を活き活きと描いた短編「イノシシの耳なし」が収録されている。

(画像) 『どんぐりの雨』 表紙

※『どんぐりの雨 ? ウスリータイガの自然を守る』(ミハイル・ディメノーク著 橋本 ゆう子 ?菊間 満 ?訳 /定価¥1,854)は北海道大学図書刊行会から刊行されている。

シートン動物記を彷彿させる野生動物や人間の生と死のドラマが、ロシア沿海地方のタイガ林を舞台とした「タイガの保護区チーハヤ・ゾーナ」や「マンシュウグマの白足」「イノシシの耳なし」といった短編に綴られている。

著者の経験や観察眼を反映したウスリータイガの自然描写が豊かで、けものたちや人間のドラマも活きている。沿海地方の四季の自然やタイガを愛するこの地方の人々の人間性も垣間見ることができ折にふれて読み返したくなる一冊。

表紙内側の沿海地方の地図にはビキン川も記されている。

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Special Thanks to : Yakov Trophymovich, Aleksandr Aleksandrovich,?and Sayaka Ootsuka


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