自然には国境を越えたつながりがありますが、ビキン川流域はロシアにあります。それで、私達はまず、日本にもビキン川流域という場所やウデヘの人々の将来に関心を持つNGOや企業のあることをロシア政府に知ってもらい、今後の協力へのアドバイスをいただこうと、在日ロシア大使館を表敬訪問して『タイガの森フォーラム』の発足を伝えることにしました。来日中だったウデヘのロディオン・スリャンジガさんも良い考えだと言ってくれて、フォーラム発足記念シンポジウムの翌々日の2009年12月4日、私達は東京港区にあるロシア連邦大使館を表敬訪問しました。
大使館では経済担当参事官のウスチーノフさんが対応してくださり、私達は各団体・組織の活動と『タイガの森フォーラム』の発足やビキン川流域への関心をお伝えしました。
参事官は、ロシア極東は自然の面では日本やアジアの国々と結びつきがあること、ロシアと日本には渡り鳥条約など、自然保護の分野で協力してきた歴史があることを述べられ、自然保護は経済とのバランスの中で考えるべきことであるが日本のみなさんがこのようにロシアの森林地帯の将来に関心をもってフォーラムを立ち上げたことには敬意を表する、そして今日みなさんが訪ねてきて下さったことは大使に伝える、と仰いました。
私達は、ビキン川流域がロシア政府によって世界遺産リストへ推薦された事実を示す資料として、IUCN(国際自然保護連合)が2001年のユネスコ世界遺産委員会に提出した「中央シホテ-アリン」(ビキン川上?中流域の115万ヘクタールをふくむ)の評価報告書のコピーを1部差し上げ、会見のお礼を述べました。
大使館へ向かう道すがら、ロディオンさんは私達に「大使館の人は中央の人だから、極東に2,000人弱しかいないウデヘ人の私を見ても、ロシア国民だと気づいてくれないかもなあ」と話していましたが、ウスチーノフさんはロディオンさんを見て、すぐロシア国民であることをわかってくれました。
短時間ながら丁寧な対応をしてくださった参事官にこの場を借りてお礼申し上げます。
また、この表敬訪問の実現のために骨を折ってくださったバードライフ・アジアのみなさん、ありがとうございます。
それから発足記念シンポジウムで応援してくださったみなさん、ありがとうございます。おかげで第一歩を踏み出すことができました。
(野口 栄一郎)