ウイッス。今回は俺達ホシガラスの話、読んでくれるかな?
俺達って パッと見た目は地味なトリかもね、
だけどこいつを読んだらちょっと驚くぜ ♪俺達ホシガラスには ある癖っていうか 習性があるんだけど、
ある意味、ここビキンにこーんなすっごいタイガの森が広がってるのも、
イノシシやアムールトラの連中が暮らせるのも、
じつは俺達のその習性のおかげ、って言えるかもしれないんだ。ではさて、その習性とは ? (あとは まかせていいかな、解説に)
見た目が地味だからって素通りしたら
お宝見逃しちゃうよ ♪人間だってそうでしょ、
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見た目は 「カラスさんですか … ?」 という感じだが、スズメ目カラス科の鳥。?ガーガーガー?と大きな声で鳴く。全長 35cm ほど。
スカンジナビア半島から北部ヨーロッパ、シベリアを経て日本をふくむ東アジアまで生息。 (針葉樹林を好み、日本では高山?亜高山の針葉樹林帯に棲む)
昆虫なども食べるが、彼らの暮らしで決定的に重要な食糧は木の実 (種子) だ。そして彼らの習性 (集めた種子をほかの場所へ運び、後で食べられるよう、土に埋めたりして隠す/貯蔵する習性) が、彼らの住む森が広がったり保たれたりするのを助けている。
(・・・ だから計画的な鳥 ? と思いきや じつは忘れっぽい ? というかおおざっぱ ? けれどもそれで結果的に森とみんなのために大事な役目を果たしている鳥、かも)
ホシガラスはマツなどの木の種子をついばんで喉にため込み、他の場所へ運んで食べる。そして彼らにはその運んだ種子の一部を後で食べられるよう、森のあちこち (木の隙間や土の中) に埋めて隠す/貯えるという習性がある。
そして翌年の早春、彼らは他の鳥達より早く (まだ森に十分食糧のないうちから) 営巣し始めるが、そこで前年隠したそれらの種子を探し出して食糧にするのだ。
そしてその際、彼らは隠した種子を全部は掘り出さない/食べない。 (隠し場所を忘れて見つけられない場合もあれば、食べる必要のない分を放っておく場合もあるようだ)
こうして、彼らホシガラスが埋めっぱなしにした種子が芽吹き、結果的に彼らの棲める森が広がったり保たれたりする ♪
そしてここビキン川流域では、彼らホシガラスがその習性でウスリータイガのシンボル 朝鮮五葉松 (ケードル、Korean pine) の種子をせっせと運んで土に埋め、タイガの森の生長にひと役もふた役も買っている可能性がある ♪
栄養豊かな朝鮮五葉松の実 (写真、クリックで拡大) はアムールトラの獲物であるイノシシをはじめウスリータイガの鳥や動物達の貴重な食糧となっているが、その種子は羽を持たず、風に運んでもらうことはできない (※) 。けれど大丈夫。ビキンのタイガには、そんな朝鮮五葉松の種子を夢中で運んでくれる生き物達がいる。それがリス達やこの鳥、ホシガラスだ ♪
なっ。こうして自分や自分の家族のためにせっせと励んでる仕事で、
タイガの森やみんなに意外な貢献してるらしんだ、俺達ホシガラスは。
種を隠した場所忘れたりするのまで、みんなの役に立ったりさ、
ま、俺もこの森から美味しい松の実もらってるし、ここで生きてるのが好きだし、
タイガの森とホシガラスさんは共生してる ♪ っていうことですね?
そっ。そういうこと。もちつもたれつってこと、
巣は樹上 (多くは陽の当たる側) に作る。2?4個の卵を生み、卵は18日で孵化し、ヒナは23日前後で巣立つが、巣立った幼鳥はさらに数ヶ月間、親鳥と行動をともにする。親鳥から種子の貯蔵の仕方を教わるためだ。
以上、俺達ホシガラスの話、読んでくれてサンキュー、
たまには立ちどまって こんなトリの話だって聴いてみるもんだ。
そして俺達の働きぶりを知らない友達や家族がいたら、そっと教えてあげて。
(大声で自慢するとケムたがられちゃうから、そっと教えてあげて。そしたら ほら、きみがホシガラスみたいにこの話のタネをまいて、タイガの森を広げることができるってわけさ !)
それから俺達ホシガラスって、野鳥にしてはノンキなほうだから、
いつかきみのアタマにちょこんととまるかもしれないぜ、
というわけで、ビキンで会ったらよろしく !
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Special Thanks to ; ?Aleksandr Aleksandrovich, Yakov Trophymovich, Sayaka Ootsuka, Yuki Sakamoto, Youki Mikami, and Katsunori Sasaki